2015年10月02日  作品別感想 

六花の勇者 感想

作品の舞台はファンタジー世界である。戦士たちは剣や槍、あるいは神からもらった不思議な力を使って戦う。主な移動手段は馬。人々は豊かな自然の中で生きている。王様が国を治める。中南米の古代文明にありそうなピラミッド型の神殿が各地に立てられている。

このような設定でミステリー系の展開になるのだからたまげた。魔物を倒しに行く仲間に紛れ込んでいる偽物を探すのがこの作品のメインストーリーだ。
原作小説ではこういう展開になることは早いうちに明示されている。アニメでもCMや公式サイト見ればわかる。しかしアニメ本編だけを見ると、「ファンタジー世界で魔物を倒す旅に出た!王道でわくわくする!仲間が集合したと思ったら仲間割れを始めた!・・・いつまで喧嘩しているの?残り話数がないよ?」と、こんな感じである。仲間割れはアニメの最後まで続くし、アニメの範囲が終わってもまだ仲間割れしてる。そういう作品なのだ。第一印象とのギャップが大きい。
ミステリーの言葉ではクローズドサークルというのだろうか。台風に襲われた孤島など、出入りができず外部と連絡もとれない状況で、その場にいる者のうち誰かが犯人というジャンル、本作はそれに似ている。
登場人物は疑心暗鬼になり殺し合いを始めてしまうのだが、ファンタジー世界の戦士たちだけあって争いもダイナミックでスピード感がある。普通のミステリーにはない本作の魅力といえるだろう。

登場する7人の勇者について簡単にまとめてみよう。今回は実験的にキャラクターを番号で呼ぶことにしてみる。

勇者1 主人公。地上最強である。卑劣な秘密道具を使う。
勇者2 お姫様。勇者1のことを気に入っている。
勇者3 元々敵だったが今は人間側についている。大胸筋矯正サポーターをつけている。
勇者4 勇者2の部下。お姫様のことが大好き。大胸筋矯正サポーターをつけている。
勇者5 唯一の年長者であり能力も万能なので周りからの信頼が厚い。
勇者6 若いが強力な能力を持っているため偉そうで発言も過激。幼女のように見えるけれど実は中学生くらいだ。
勇者7 殺し屋さん。見た目だけなら一番怪しいが・・・?

ちなみにこのアニメの清涼剤的ポジションは6番と7番である。過激派と殺し屋がオアシスとは信じにくいが、視聴者が10人いたら8人は同意するであろう真実である。このあたりは是非とも本編を見て確認してもらいたい。

この中から偽物を探すわけだが、主人公である1番が罠にかけられ偽物の最有力候補になってしまう。それぞれの最初の意見は以下の通り。

勇者1 自分が疑われているから真犯人を探そう!
勇者2 勇者7かなあ。勇者1は気に入ってるから偽物であってほしくないなあ。
勇者3 強いて言えば勇者1。
勇者4 大好きな勇者2には悪いけど勇者1。
勇者5 勇者1に決まってる!見つけ次第殺せ!
勇者6 強いて言えば勇者3。
勇者7 勇者1が怪しいと思うけどまだ考え中。

12話をフルに使ってこの中に紛れている偽物を探す。推理、心理戦、バトルなど様々な展開があるのだが、その全てには触れないでおく。今回は私がこのアニメ最大の見せ場であると考える5番の振る舞いについて書きたい。

それはアニメ中盤~終盤の以下のような展開である。苦闘の末1番は3番と7番を味方につけることに成功する。2番、6番もなんとかなりそうである。絶望的状況を脱出する道がようやく見えてきた。
しかしここで事件は起こる。5番が嘘の情報を流し、偽物は1番だと2番に信じさせたのだ。2番は信頼してた主人公に裏切られ、怒りに任せて襲いかかってくる。そこにもともと1番を疑っていた4番もノリノリで便乗してくる。強者3人に襲われては耐えられず、大ダメージを負う1番。絶体絶命のそのとき、真相へ至るひらめきを得て、身の潔白を証明することに成功するのであった……。

各勇者が何を思って行動しているのか考えながら見れば自然な流れではある。だが神様視点で見ている視聴者はこう思う。
5番何やってんの。

1番の疑いが晴れた後全員から疑われる5番。当たり前である。この流れは本当に面白いので是非見てもらいたい。
1番を追い詰めるため他の勇者を説得するときには「証拠などなくていい!殺せ!」と言っているのに、自分が疑われているときには「やめろ!何の証拠があるというのか!」と制止する。最初から妙に周りからの信頼を得ていた者が暴走し全員を敵に回す様は、こう言ってしまっては趣味が悪いかもしれないが、痛快だった。

直後に謎が解き明かされ偽物も明らかになる。ここからの展開も突っ込みどころ満載で楽しいのだが、何より5番が面白いので感想はここまでにする。最終盤については多くの人によって語られているだろうしね。

少しだけ真面目な話もしておく。展開の遅さが指摘されることがあるが、下手に物語を進めて変なところでブツ切りにしてしまうよりは良いのではないだろうか。あんまり何も解決してない結末だったが綺麗な終わり方ではあった。あとファンタジー世界の描き方がなかなか気に入った。
この感想だけ読むと面白おかしいギャグアニメみたいに思えるかもしれないが、決してそうではないことを明言しておく。



六花の勇者

満足度 75点
お勧め度 65点
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