2016年09月28日  作品別感想 

アンジュ・ヴィエルジュ 完走感想

 化け物がやってきたので能力者を集めて対抗するという設定はあるけれど、あまり戦闘が中心になっていた印象はない。本作は愛の物語だった。作中の言葉で言うならば絆か。
 といっても設定を放置しているわけではない。吸血鬼、コピー能力者、電脳空間、軍人など、異世界が登場することを生かして愛の物語を構築してくる。単にテンプレ展開を外して視聴者を驚かすだけの作品ではなく、隙はない。物語中盤にあった「仲が良いって素晴らしいね!」→「じゃあ一体化しようぜ!!」の流れは特に好きで、猛烈に強烈なエネルギーをもって私の頭をぐちゃぐちゃにした。こういうことができるのも異世界と繋がった世界観ならでは。
 現実世界でも日本人はシャイでアメリカ人はフレンドリーみたいな文化の違いがあるので、異世界ともなると愛の形は我々の想像をほんの少し超えたものになるのかもしれない。


 1クールずっと愛の話をしているのはなかなかすごい。1クールアニメはいろんなことをやるには時間が足りないから、やることを絞るべきという声はよく聞くけれど、ここまで絞るものなのか。
 ちょっと物足りない気がしないといえば嘘になる。見てみたい場面はいろいろある。天音と紗夜のダブルリーダーによるチームとか、闇堕ち勢の闇堕ちトークすら全肯定する天音とか、ちょっとノリが良くなったナイアとか、軍人姉妹の日常とか。日向先輩の優秀さを示す描写を増やして、敵に回ったときの絶望感を強調するのもいいな。
 でも増やしたり減らしたりしたらまた別の作品になってしまうから、きっとこのままがいいのだろう。これ、良い作品だったということを意味するのかも。


 最終盤に心の闇を見せたとはいえ、やはり天音はスーパー人間だ。正直初めは声が合っていないと思った。しかし話が進み、その能力を見せつけていくうちに考えは変わった。この声が示すのは単なる可愛さではなく、「底知れなさ」みたいなものだ。ナイスキャスティングだった。


 最後にOP前の語りについて。多くの視聴者の心の支えになったと想像する。私も好き。でも注目したのはその内容というより、作品内の役割とか、毎回流すことによる効果みたいなもの。
 「この宇宙には5つの世界があった」「世界崩壊、ワールドエンド」なんてナレーションを毎回流されたら視聴者はどう思うだろうか。「あ、この作品では世界観にそれほど注意を向けなくていいのだな」と思わないだろうか。私はそう思った。
 これにより、重厚な設定を好む視聴者には円満にご退場願い、残った人には集中力を割くべきポイントを示すことで、愛一点特化型の物語を成立させたのではないだろうか。
 この語りは作中トップクラスの重要な要素といえよう。最初に見たときは尺を潰して無駄だと思っていたものが、実は作品の柱だと気付いたのは、貴重な経験だった。
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